仏教

般若心経の訳、簡単に知るために

般若心経。ところどころかわいらしく赤や緑の文字で書かれている。
zaruza

般若心経(はんにゃ しんぎょう)は、国や宗派を超えて読まれるとても有名なお経です。

サンスクリット語と、中国語、日本語が混じった状態で読み書きされるので、字を見ても声に出しても、なかなか難しい気がします。

世界中で敬われるお経なのに、じっさいの内容が全く分からないとしたら、とても残念なことです。

そこで簡単な訳を考えましたので、ご紹介いたします。

般若心経 (ザルザ訳)

「真理の中に」

宇宙の下、悟りに向けて座禅する僧侶のイメージイラスト

(お優しい観音様が、深い瞑想を通じて真理を明らかにされました。
そしてそれを、学びを求める舎利子という方に語ってお聞かせになったのです。
その時のお話を、私たちも聞いてみましょう)


「舎利子さん、お聞きなさい。

私たちは人として生まれ、色々思いますね。生まれる前はどうだったかとか、生きていて今はどうだとか、死んだらどうだとか。

でもすべてのものは、生きたり死んだり、集まったり離れたり、縁によってくるくると回りながら変化しているものなのですよ。

今、舎利子さんとして生きて私の話を聴いているあなたの体も、教えを熱心に学ぼうというその心も、その変化の中の状態なのです。

あなただけではありません。他のすべてがそうです。

生まれたばかりの幼子の体には、やがて老いて死ぬことが含まれていますし、生きている間にその子があれこれ思う事も、実体として捉われることはないものなのです。

このような固定されていない状態を「空」と呼びます。
それはものではなく、縁によって変わり続ける状態です。

空はとても開けて何もかもを含みますが、それ自体捉えがたく、何もないと言えばたしかに何もないのです。

わたしたちはみんなこの”空”の中にあって、いつも”空”そのものなのです。
ですから、あなたもないと言えば無く、あると言えばあるのです。

くり返して言いましょう。
何もかもが、”空”の中に、ただ移ろいながら互いに関わり合っているだけなのです。

それなのに、自分は自分あの人はあの人だと思ってしまい、何かに固執しすぎて迷ったり、悲しみの渕に足をとられているのです。

すべて”空”だったのかと知り、その結果、人として虚しさを抱えて生きなさいと言うのではありません。
反転して、明日への希望を見出しなさいという事でもありません。

何もかもが、どちらでもあり、どちらでもないのです。
何もかもが、”空”としてのひとつなのです。

その真ん中にいて、ああ、そうだったのか、この世界はこんなふうになっていたのか…、とただただ見抜く事が大切です。
この気づきにより、あなたも、またどなたも、今後一切の苦しみから解き放たれることでしょう。

それはすばらしい悟りです。

舎利子さん、わたしがあなたにお伝えしたいのは、このことなのです。

数々の仏さま方は、皆このようになさいました。
そうして、もう二度と思い惑うことのない境地へ行かれたのです。

このお話を聴いても、心もとないですか?
まだ一切が空だとは思えず、思い惑うことがありますか?
自分と空が一体だと気づけたら、そのとらわれの心も鎮まるのですが…。

では、次の言葉を唱えてごらんなさい。
これは悟りの世界への導きの言葉です。

いつも心静かに、間違えたりしないようにお唱えなさいね。

『ぎゃーていぎゃーてい、はーらーぎゃーてい、はらそーぎゃーてい、ぼーじーそわか』

舎利子さん、大切なのは
”すべては既に真理の中”という気づきなのです。」

般若心経の訳に関して、読み方とご注意

観音菩薩像。青空の下に白いお姿が優し気。

空は「くう」と読みます。

舎利子は「しゃりし」です。

般若心経自体にない内容、言い回しが混ざっていますが、全体をわかりやすくする為の工夫としてご理解ください。

般若心経の訳:おわりに

ガンジス川に金色の夕陽が映える
ガンジス川の夕陽

般若心経と言えば、とても有名なお経ですが、むずかしい漢字がならび、読経を聴いてもその意味はなかなかわかりません。

ですが、少し時間をとって読み解いてみると、このお経は観音様がやさしく語りかけて下さっているスタイルで、聴いて受け取りやすいものです。

この大まかな訳が、ただ般若心経に興味を持つきっかけとなり、今後お経が必要となる場で、皆さんが心からの祈りを捧げられる一助となりますように。

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ザルザ
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今朝、雷で目が覚めました
神社やお寺、教会などを軸に、祈りについて学びながら心の平穏を探します。このブログをきっかけに、世の中の事物にも目を向けられたらと思います。晴れた一日になりますように。
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